海洋資源として

クジラが日本では貴重な資源としてあまねく利用されるのと違い、現在ではイルカを中心にした産業が成立しているケースは世界的に見ても少なく、ごくわずかに南太平洋の島国や日本の一部の地域で肉が食用に供されているに過ぎない。もっとも、捕鯨技術発達の初期段階では、イルカが捕獲対象となることは多かった。また、ビスケー湾周辺では中世まで盛んに捕獲が行われ、鯨油原料や食肉として利用された。イングランド宮廷では17世紀頃までイルカが食卓に供されていた。(詳細は鯨肉#食文化の流れ参照

日本の場合、比較的イルカがよく観察されるところでは食用にする習慣が残っているところもあり、各都道府県知事許可漁業の「いるか突きん棒漁業」「いるか追い込み漁業」として認可を受けて操業しているところもある(突きん棒漁業とは銛を打ち込んで漁獲する漁法である)。例えば静岡県の東部地域や静岡で水揚げされたイルカが流通する山梨県の一部地域、あるいは和歌山県ではイルカ食文化があり、この漁法で仕留めたイルカの肉を町中の魚屋やスーパーマーケットなどで日常的に販売している。最大の産地は岩手県である。イルカの漁獲量は一般の漁業と異なり、重量ではなく頭数管理とされており、漁獲したイルカについては全てDNA登録[要出典]を義務付けられている。(捕獲の詳細は捕鯨#日本における捕鯨参照

調理法としては一般的には肉を削ぎ切りにし、醤油と味醂と砂糖で作ったタレに漬けてゴマをふり天日に干したものを焼いて食べる。生肉は冬が旬の食材で、販売時には肉と脂皮の角切りが一緒にパックされていることも多い。煮物にする場合は牛蒡、にんじん(大根)ともに味噌煮にすることが多い。静岡県東部地方ではこれが冬の郷土料理である。また動物性油を天ぷら油として使用する一部の地域では、豚の脂身の代わりにイルカの脂肪の油を使用することもあるようである。

イルカの肉を食べるのは地域的であり、食べる習慣のない地域とは意識の隔たりがあるためクジラに比べて消費量は少ない。またイルカの肉はクジラの肉と違って固くて調理がしづらく味が苦いのと、酸化が早くて管理が難しく、なおかつ血管の走り方が独特なため寄生虫の心配が多いからというのが主たる理由のようである。しかし近年になって大型のクジラの捕獲量に制限が加えられ、流通に支障が出てくるようになると、単に「鯨肉」と称してイルカの肉が市場に出回るケースもあるようである(歯クジラでも、大きさによりクジラと分類されるゴンドウクジラなどの肉は、元々クジラとして流通していた)。もっとも、現在のJAS法上はそのような表示は不適法とされており、種別表示が必要である。

なお日本の厚生労働省は、2005年8月、イルカを含むハクジラ類の肉には、マグロやキンメダイなどの一部の魚介類と並んでメチル水銀などの人体に有害な有機水銀類が含まれるとして、妊娠時の女性に対して摂取を控えるように警告した。具体的には種類により異なるが、全体に魚類に比べて厳格な基準が設けられ、最も厳格な基準のハンドウイルカについては1回約80gとして妊婦は2ヶ月に1回以下とするように推奨している。ただし、妊婦以外の一般人の摂取に関しては、幼児の場合なども含めて特に制限が必要とはされていない。 [2][3]